Interview
不要なものに新たな価値を生み出す、手放し方の提案プラットフォームづくりへの挑戦
山本 虎太郎さん(2022優秀賞/Trash Lens 開発者)
連載インタビュー『400文字の夢のつづき』
TOKYO STARTUP GATEWAY(TSG)出身起業家の皆さんに、取り組まれているプロジェクトや起業までのストーリー、そしてTSGにエントリーした当初のお話や、エントリーを考えている人への応援のメッセージをお伺いしています。
エントリーを検討されている方、そして、幅広く起業をお考えの皆さんのヒントになるはずです。
ー簡単に自己紹介をお願いします。
明治大学の総合数理学部の4年生です。
環境という分野でビジネスはどう行われるのだろうと興味があったので、大学1年生の頃から去年の秋まではゴミ拾いSNSアプリを提供している環境スタートアップでインターンをしていました。
ー今取り組んでいるプロジェクト・事業を教えてください。
撮る→つなげる 資源活用プラットフォーム Trash Lensのアプリ開発をしています。
手放したいモノを撮影するだけで、自治体での処分情報から、そのモノの価値を最大化させるリユース・アップサイクル事業者とのマッチングを行う仕組みを開発しています。
ープライベートはどんな人?(TSG先輩が普段どんな生活スタイルなのか、どんなものが好きなものを教えて欲しいです)
最近、プロジェクトのことばかり考えているので、それ以外のことの時間があまりないかもしれません(笑)
小学一年生の時からボーイスカウトに所属していて、現在も続けています。
子供が好きだったこともあり、大学入学後から昨年までは小学校3〜5年生のカブスカウトの指導者役をしていましたね。
ー今の事業をやりたいと思ったきっかけは何ですか?
中学校の時からごみの分別にこだわりを持っていて、勝手にゴミ箱をひっくり返して、ごみの分別をしていました。中学生の友人から「君がここだけ頑張ってもしょうがない」と言われたのがきっかけで、ゴミ問題の解決のための仕組みづくりを考えるようになりました。
※高校生の時、文化祭でTrash Lensを初めて人に広めた時の写真
―TSGに参加した目的や参加した時の状況を教えてください
これまでは個人でアプリを作って配信をしていたのですが、それを世に広めることができていませんでした。ゴミ拾いSNSを開発したベンチャー企業のピリカでインターンをするようになり、世に広めるにはビジネスとして成り立たせることが必要だと思うようになりました。
Trash Lensプロジェクトを事業化したいと考えたときに、自分自身に広めるための知見やコミュニティがないと思い、TSGにエントリーを考えました。
ー山本さんにとって、TSGはどんな価値がありましたか?起こった変化や気づきなどがあれば教えてください。
これまでアプリの開発がメインで、事業化について真剣に考えていませんでした。TSGは各ステージごとに、事業計画を考える機会や、参加者同士での相互メンタリングもありました。
事業計画を初めて作ったのですが、色々な人から意見を頂きながら考えられたのがとても良かったです。
コミュニティの存在も大きいですね。ファイナリスト同期から教えてもらい、今年の3月から一般社団法人百番地が運営する野心的な若者が集まる未来創造拠点 100Banchに入居しました。TSGのコミュニティはもちろんのこと、その中で知ったまた別のコミュニティの情報を共有できたことも良かったことです。
事業計画に正解はないが、行動し、改善を続けることが大切
ー印象的だったことや記憶に残っている出来事はありますか?
TSGの参加者は本当に多様な年齢層・業種・バックグラウンドの人がいるという印象でした。
集中メンタリングは、プロジェクトの方向性を決める重要なターニングポイントでした。
Trash Lensのアプリについて「誰も使わないよね」と言われたこともありました。
誰が使うのかを明確に考える必要がありますし、キャッシュポイントを考えていかないと事業を成り立たせるのは難しいなど、ぼんやりと考えていたことが論理的に言語化されました。
迷走しているときもありましたが、必ずしも正解があるわけではなく、考えたり取り組んだりする中で少しずつ方向性が見えてきました。
ーTSG終了後、どのように事業を進められましたか?
12月、1月中は発表した内容を実現するために開発を進め、大学が春休みに入ってからはリユースやアップサイクルにつながるような事業者探しや、先進的な取り組みをしている現場に足を運んでいました。
3月からは100Banchに入居し、同世代の人が多く、HOME的な安心感のある場所で、刺激を受けながら情報収集や意見交換をしています。
誰もが意識することなく、自発的に資源を活用する流れを作りたい
ー今後実現したい世界やビジョンを教えてください。
ゴミ問題・環境問題というと、強制されるようなネガティブな気持ちになってしまうことも多いと思っています。
誰もが意識することなく進んで資源の活用を促進するという流れをTrashLensで作りたいです。そのための第一歩として、写真を撮るだけで、分別方法や手放すときの価値がわかるようにしたい。利用者の負担を最小限にすることで、楽しくリユースアップサイクルに結び付けたいと思っています。
今年の秋までに、不要なものの写真を撮るだけで、リサイクルショップをはじめとしたリユース事業者や、手放すものに新たな価値を与えるアップサイクル事業者を巻き込んで、買取価格・手軽・環境負荷などを比べながら、多様な手放し方を提案する仕組みを提供する予定です。
近日中に事業者につなげる実証実験を行う予定で、思った通りにいくのか、たくさんの課題が浮上してきてしまうのかドキドキしています。
ー最初の400文字 を書いた時の気持ちはどうでしたか?
400文字を書いた時は、TSGのWEBサイトに載っていた過去のエントリー者の文章を参考にしました。
自分の実現したい世界観を言語化して自覚したのは、これが初めてでした。
言語化したことで、それ以前よりも他人に対してプロジェクトの説明がしやすくなりました。
ーこれからTSGにエントリーする方へ応援メッセージをお願いします
どんどん次のステージに上がるにつれて、考えることも書く文章も長くなって、だんだんつらくなってくることもあります。
ただ、ここで書いた文章は他の機会でも使えるので、頑張り続けることが大事だと思います。
迷走してしまうこともあると思いますが、自分が元々やりたかったことや実現したいことを見失わないでほしいです。そのためには、自分の意見を大切にしながら、まわりのフィードバックを生かして取り入れてみようという気持ちも大切だと思います。
最初に提出したアイデアに不安が残っていたとしても、後々変えることもできます。
まずは、最初に一歩踏み出してほしいです。
400字なので負担がないと思うし、自信がなくても大丈夫!出さないともったいないです。
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TSG2023の締切は、7/9(日)23:59です。
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関連URL
Trash Lens公式サイト:https://trashlens.com/
山本虎太郎さん個人のSNS
Twitter:https://twitter.com/kota_trash
Facebook:https://www.facebook.com/kotaro.yamamoto.327/
Instagram:https://www.instagram.com/kotakota.app/
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[ PROFILE ]
山本 虎太郎さん(2022優秀賞/Trash Lens 開発者)
明治大学 4年生。(株)ピリカで3年間技術者として従事。中学生の時からゴミの分別に拘り始め、学校で適当に捨てられているゴミ箱を勝手にひっくり返して分別したりする。それを見た親しい友人から、「世の中たくさんのゴミが適当に捨てられてるのに、ここだけやっても無駄だよ」と言われたのがショックで、仕組みとして解決することを志す。
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